11.
さっきのことは覚えていないのだろうか。
さっき起きたことを言ってみると、「そういえば! くちのなかがまずい! いたい!」と今さらながらに眉をこれでもかと寄せ、とても嫌そうな表情をした。
苦笑し、懐から小さめの水のペットボトルを飲ませ、口の中を綺麗にさせた。
「しょーやさまも、いたいのではないでしょうか」
「俺のことはいい。それよりも、なんであんなことをしたんだ。人に怪我をさせるのは悪いことなんだぞ」
「⋯…だって」
心配そうな顔から一変、しょんぼりとし、自身の裾を掴んで口を尖らせた。
「しょーやさまが、すごくこわがってましたから、どうにかしてあげないとおもいましたら、かんでました」
「そう、か……」
情けないぐらいに鳥肌が立っていたから、ジルヴァはそれを感じて、代わりに引き離してくれたのだろう。
それは素直に嬉しい。その思いを込めて撫でてみせると、目を細め、嬉しそうに笑っていた。
「あと、どうして獣の姿でいたんだ。……俺が、怖くなったからか」
「ちがいます! ……あ、でも、さいしょはそうおもいました」
つけ加えられたその言葉に、やっぱりそうかと予想内のことにそう思いながらも、自分でしでかしたことなのに内心傷ついていた。
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