12.

「でもでも、まさしさまがおっしゃていたように、どんなにおこっても、もともとがやさしいひとだってぼくもわかってますから、ひとのすがたになろうとおもいました。……ですが」


不自然な切り方をしたジルヴァに、「どうした」と先を促そうとした。──その時。


「あー!! こんなところにいたんだな!」


突然の大声に二人は思わず肩を大きく上げ、振り返った。

良かったー! と息切れしながら言い、ヘロヘロになりながら祥也達の前で膝に手をついていた。


「まさしさま、だいじょーぶですか?」

「あぁ……まあ、何とか……」

「何をそんなに急いでいたんだ」


こちらに手を挙げ、『待て』ということなので、奴が落ち着いて話が出来るまでじっと待っていた。


「──兄貴達のことを絡んできた女ども、窃盗の常習犯だったみたいだぜ」


いわく、一人になったターゲットと話している時、もう一人が隙を狙って、財布を抜き取ろうとしていたのだという。

誰かが呼んできたらしい、救急車と警察がやってきて、そのような話をしていたのを聞き、関係者になりたくないから走ってきたのだという。


「そういうことだったのか……」

「そっ。だけど、今回の場合はマジで兄貴に惚れていたみたいだけど。ま、それも兄貴の願望のもふもふのジルヴァに噛まれて、大惨事になったんだけどな!」

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