枕を振る妙、悪夢は廻る。

この作品は、寄席で演じられる落語の
構成をとる。その手法が根底に控えながら
本題の『悪夢』の売り買いはホラーとして
充分な陰惨さを以て展開する。
少しの疑念は強迫観念へと変容し、自ら
破綻し破滅してゆく。悪夢とは如何程の
苦痛であるか。ましてやそれが、いつ
終わるとも知れずに続くとなれば。
それは読む者に心理的な怖さと小さく痛む
棘を残しつつ、最後は ハネ太鼓 で
有無を言わさず軽快に送り出される。

作者は、物語の構成がとても上手い。
そのまま 噺 の新作演目にしたとしても
全く違和感はない程に。