白い雪の姿に弓矢をつがえ満願成就を誓う。

遠い遠い昔のこと。

 二つの眼球から生じた山彦海彦。一人は
神に寄り、また一人は魔に寄りたるもの。
人に育てられた山彦は森で狩をする。
大きく堅い弓矢を以って魔を懲らす事を
兄弟を殺す心に誓う。

お雪という名の村の娘は溶けない雪に
閉ざされた山奥の村でひっそりと生きて
いた。何の因果か髪も肌も雪の如く白い。
只、その瞳は美しく紅く輝いていた。
 大切なものを失って尚、生きて来た。

 その二人から、幾許かの月日は流れて。

嘗て、呪わしい異界の鳥居より姿を現して
人々を混乱と恐怖に陥れた大いなるモノ。
今も山形に、そこに横たわる。

  いつしか時が流れて。

雪の様に白い髪と肌を持つ、小さな娘が
北の駅へと降り立つ。魔を討つ弓矢を引き
絞り紅い瞳で遠きを睨む。

    そして、遠き先祖の遺志を継ぐ。

 必ずや、この手で あれ を。