野晒しに真白き未練の花、二つ。

その花は蓮の華に似て、透ける程に白い
花芯には小さな純白の されこうべ が
載っていた。
        彼岸と此岸の端境の

土の下の湖畔に咲くという。『骨花』の
謂れは哀しき物語。美しい白拍子の最期の

 願い とは。

作者の紡ぐ物語には情愛が宿る。
本作品を語る 花 は、春を待ち侘びて
咲く花とは違う。決して咲く事を忘れない
野の花々を心に想いながらも、散る事を
忘れてしまった白骨の花。

いずれ、人は誰もが彼岸へ渡る。その時に
再び逢い見えんと希う白拍子の想いは
更々と献々と湧き出ずる地下の湖の冷たく
澄んだ水のよう。
 それは、手放して初めて手に入るモノ。
魂の来し方も行く末も、わからぬ限りは

せめては真白き骨の花となり
 
    いつしか、共に咲く夢を見る。

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