ひとりごはん

　『勇の場合』
　暑い夏の日。
　勇（ゆう）は趣味で集めている和食器の入れ替え作業をしていた。
　そこに鳴る、インターホンの音。応じると、配達員から「お届け物です」と告げられ、平たい箱を渡される。
　差出人は双子の弟の仁（じん）。お中元を送ってきてくれたのだ。
　ちょうどお昼時だったので、勇はお中元の品を使って昼食を作ろうと決めた。
　暑い季節にぴったりの、涼やかな一品を。

　『アルドの場合』
　アルドは腹が減っていた。
　夕方、彼が仕事帰りに立ち寄ったのは大衆食堂兼居酒屋。通い慣れたその店で、アルドはいつものようにたくさんの料理と酒を注文し、堪能する。
　一人でも寂しくない。
　なぜなら、美味い料理と美味い酒があるからだ。

　『ソフィアの場合』
　雨が降る秋の日。
　ソフィアは自宅リビ…続きを読む