第12星:愛してるよ アレクサンドラ
「ごめんね アリー」
大人は馬鹿だったよ。
「僕たちはこれから アリーの生きたその意味を示すために生きるんだ」って言ったのに
アリーのママとパパは今日も夫婦喧嘩しているよ。
アリーの人生の アリーが死んだその意味を
勝手に汲み取った結果が
それから「アリーは強い子だった」とも言っていたよ。
君が寂しがり屋で 泣き虫で
「死にたくない」って言っていたことを
今も知らないみたいだよ。
大人は薄情だったよ。
チャーリーが死んだ後
半日もしないで
同じベッドでソフィが寝ていたよ。
そこにチャールズという人生があったことを
みんな知らないみたいだよ。
大人は嘘つきだったよ。
アリーとチャーリーの患った
そしてソフィが患っているフジノヤマイは
治らない病気って意味だったんだね。
みんな言ってたね 「治る」って。
みんな言ってるよ 「治る」って。
みんな不治の病が治らない病気だって
知らないみたいだよ。
大人は詐欺師だったよ。
僕がアリーに話したタイムマシンの話も 星の話も
全部大人が言っていたんだ。
でも真実は違った。
結婚の話もそうさ。
「真実の愛を証明するのが結婚」と言っていたのに
僕たちは出来なかったじゃないか。
「子どもだから」って。
僕たちの愛は 真実の愛であることを
みんな知らないみたいだよ。
あぁ そういえばソフィアが話してくれたよ。
「わたしがフジノヤマイに
ママとパパは別れちゃった」って。
結婚した大人は 真実の愛を知らないみたいだよ。
でも僕は
子どもが愛の結晶じゃなかったことは知らなかったよ。
大人たちはいつも
子どもたちのためとかこつけて
何も知らないのに
知ったような口を利くんだ。
でも。
「ごめんね アリー」
僕はアリーを置いて
少しずつ大人になってるみたいなんだ。
それがすごく恐いんだ。
僕はただ
生きているアリーが示してくれる意味を
拾い集めたかった。
死んでしまったアリーから
君が望んだように
意味を作り出したく無かった。
けれど今の僕からは
こんな言葉しか出てこないんだ。
「愛してるよ アレクサンドラ
君の生きた意味と 君の
僕が見つけるよ」
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