第4星:星になった君


「知ってるかい アリー」




 新緑の季節になった。


もうアリーはいない。


僕の問いかけに誰も答えてくれない。




 アリーがいたベッドには

アリーが死んだ次の日にはチャーリーが寝ていた。


彼もまたフジノヤマイだった。



 けれどアリーのママもパパも

お医者さんも 看護士さんも

みんなアリーと仲良しだったのに。


アリーが死んでしまったときにはみんな泣いていたのに

あっさりとチャーリーにアリーのベッドを開け渡すんだ。




「アリー。

君のママとパパも

「アリーの人生には 死には意味があった。

僕たちはこれから

アリーの生きたその意味を示すために生きるんだ」って言っていたよ。

「アリーもそれを望んでいる」って」




 僕はこうやってアリーの形見

さくらんぼ色のティント(アリーが棺に入ったとき こっそり塗ってあげた)に話しかけている。



 僕の左手の薬指には

アリーの瞳の色の

アクアマリンのように光り輝くビーズが光っている。


アリーが作ってくれたんだよね。


だから僕も

僕の瞳の色に似たペリドットのように輝くビーズで

アリーのために指輪を作った。


アリーの左手の薬指で 今も輝いているだろう。




 最後にアニーと結婚式ができてよかった。


アニーはとても綺麗だった。


 可愛らしいさくらんぼ色のリボンに

さくらんぼ柄のウェディングドレス。


いつものさくらんぼ色のティント(ティントは色移りしないんだってね!)を塗っていて。


 桜の花びらでできたヴァージンロードの先で

僕を待っているアニーの姿は

今でも鮮明に思い出せるよ。



 アレクサンドラとの最初で最後のキスは

さくらんぼの味だったよ。



 僕たちは子どもだから正式にはできないんだって!


馬鹿げてるよ!



 でも僕とアレクサンドラだけは知ってるよね。




僕たちの愛は真実の愛だって。


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