「ごめんね アリー」
第11星:宇宙飛行士になれなかった僕
「ごめんね アリー」
僕は知っていた。
宇宙は 地上から100km上の空間からだってことを。
15mの高さからでは アリーには届きやしないってことを。
僕は涙を流しながら
さくらんぼ色のティント(パッケージフィルムの内側に 君からの手紙を見つけたよ)を握り締めて眠っていた。
今は机の上に置かれている 綺麗なままの宇宙服を
お布団の中から見ている。
窓のフレームになんて
僕は足をかけられっこないんだ。
「知っているだろう? アリー」
僕が窓のフレームに
手すらかけることができないことを。
それから僕は チャーリーの病室にすら行っていないんだ。
チャーリーが 昨日の夜に 死んでしまったからね。
チャーリーの病室には 近づくことすらできなかったんだ。
僕は痛い点滴のチューブに絡まれながら 眠っていたんだ。
そして僕は夢の中で君と
アレクサンドラと抱きしめ合って
さくらんぼ味のキスをしたんだ。
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