宇宙船ペパーミント
菫野
宇宙船ペパーミント
ガラスドームこはれたところから闇がひろがりやまぬここは廃星
あぢさゐに指沈めれば底無しの花宇宙より深くひろごる
量子力学知らざりしわれの手で光の粒は寒天となり
妹は銀河びととふ人類の
銀河には不可思議の慣用句あり「地球の雲のやうに自由に」
壁に絵を掛けてもひとりには慣れぬままで地球の雲を見てゐる
夏の枇杷を星間便で妹に送らむとして青果店へと
泰山木の花ひらきゆく銀河行き最終列車みあぐるやうに
スカートの一部であつた黒猫が
わたくしの皮膚をざわりと吸ひ寄せて見えない猫は夜を出てゆく
読みさした歌集を伏せてああきつとわたしの猫は
梅雨空にあんなに碧い宇宙船ペパーミントのタブレット欲る
ゆふぐれの踵にあはき靴擦れの痕はいつしか銀河となりて
いづれまた少女のやうに会うのでせう
砂の
人類は銀河を病めり
宇宙船ペパーミント 菫野 @ayagonmail
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