【短歌】ぐちゃぐちゃのどろどろ

肥前ロンズ

表紙を開く気ないなら語るなよ 私の書いた私の話

除け者にする人たちに怒ったら あなたはなぜか笑いましたね


「面倒な時代になってきましたね」面倒なのはあなたの方よ


ガラスペン他の誰かになりたいと足掻いて書いた所詮僕だよ


「その髪じゃ、社会に出たら苦労する」あー、そうですか人種差別者


悪くないことに謝る人たちは 悪いことには何も言わない


「うるせえよ面白ければ許される」ギロチン楽しむ市民のようね


真夜中のベッドでうめく傷の海 溺れる人を知らずに嗤う


「そんな考え方でしんどくないの?」どこで習った無作法者よ


ぶりっ子を嫌う女のバカなフリ それを見抜けぬ男が嗤う


「自分さえよければいい」と言うわりに ネットの海に流すんですね


「表現の自由」ばかりを繰り返す クリシェはただの壊れたラジオ


憧れの人のことばを振りかざし 酔って絡んではい、さようなら


「大丈夫」なんの慰めにもならぬ 言葉を抱いて生きてきました


どうしてもあなたに愛されたかったの ぐちょぐちょだから綺麗に消すね


マッチ売る子どもを使い消費する 大人の欲で救われるかよ


知ってるわ。私がいくら怒っても あなたに何も届きませんね


表紙を開く気ないなら語るなよ 私の書いた私の話


「質問」と言って答えを当てはめる 私は君のゴミ箱ですか?


誠実な人になりたいはずなのに どろどろとした自分だけいる


いい加減夢から覚めていいのにさ まだ人間に夢を見る夏

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