歴史に残らぬ英雄譚が終わるとき、彼は最後の歌を聴く。

とある英雄譚の結末から物語りは始まります。

これは、終わり、の物語なんですね。
英雄たる友、その終わりを見届ける男の物語です。

驚くべきことは、この作品が四千文字という極めて限られた文量であることです。
一つの物語の結末を十全に描こうとすると、それまでの経緯や設定など書かなきゃならないことが山ほどあるわけですが。
それが現実世界とは別の異世界であれば、なおさらです。
ファンタジーってのはどうやっても、世界の説明をしなきゃ把握できない。

そして、物語の終わりであれば、それまでの経緯も把握できてなきゃ意味がわからないものになってしまう。

でもそういったものを、この作品は四千文字という極めて限られた文量でクリアしちゃってるんですね。
書き手の方なら、この凄さが良くわかるんじゃないかなと。

四千文字というごくわずかな文量で綴られる作品なんですが、
物語の終わりしか書かれていないのにも関わらず、世界観や主人公たちのドラマが全部みえてくる。

そういう作品です。

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