小さな彼の大きな手

「ママのお迎えかー?」

「うるせーばか!」

 私より頭半分小さい彼が、友人に悪態をつきながら教室から出てくる。


 ――夕暮れの通学路。

 不意に彼がキョロキョロと周りを確認すると、一息置いて少し強引に私の手を握る。


 みんなは知らない。

 彼の手が意外に大きい事を。

「なんだよ」

「なんでもない」

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