リスタート
ビル風で自前のバーコードを揺らしつつ30年勤めた会社に一礼した。
早期退職を憐れむ周りと裏腹に、私の足取りは軽い。
「よ。久々に飲まない?」
「……待ちくたびれたわ!」
決裂していた旧友と約束を交わし、途中の公園でくたびれた背広をゴミ箱に捨てた時、確信した。
風切羽はまだ抜けてない。
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