別れの朝

「またね」


 いつもの癖で互いの口から出た言葉。少し笑い合った後、彼が言う。


「じゃあね」

「うん、じゃあ」


 彼が閉める玄関扉の金属音。

 一緒に聞く最後の音。

 微かな残響が、私を奮い立たせる。


「彼はもう昔の男…!」


 白んだ空。

 既に私の耳は、雀の囀りと少し離れた始発の音を拾っている。

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