勤め人の方におすすめ

安倍晴明といえば呪術を使いこなして物の怪を退治して、というイメージをお持ちの方も多いだろう。
しかしこちらの彼は権力闘争が盛んな朝廷を堅実に生き抜く「勤め人」である。陰陽師とは言いながら、実際にはカウンセラーであり気象予報士であり、仕事の根回しや段取りを細心の注意を払ってこなしてゆく姿が描かれる。
この作品で書かれる藤原北家の争いは現代と変わらぬ、誰が権力の主導権を握るかの息詰まる世界である。その水面下で注意深く泳ぐ晴明の生きざまから目が離せない。

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