後編
「じゃあ続きを言うわ」
「まだあるんだ」
「主人公達が冒険の中で辺境の属州に行ったわね」
「行きましたね」
「そこで辺境伯と出会うのね」
「出会いますね」
「辺境伯は凄いイケメンなのね」
「イケメンですね」
「イケメンなのに、なんか凄く嫌になる様な書き方をしてない?」
「イケメンは敵ですから」
「それは良いとして、辺境伯の名前がものすごく長いのは?」
「寿限無のオマージュです」
「ギルドの2階にクマサーンとハッツァーンの話が妙に多くなって来るのは」
「ネタが無くなったんです」
「それでやたらと落語のパロディが出て来るのね」
「昔、姉ちゃんにさんざん落語を聞かされたから、つい」
「辺境でこき使われてる奴隷たちを主人公達が買い取るじゃない」
「そうですね」
「なぜ自由になった奴隷たちがわざわざ主人公に仕えるの?」
「それは本人達の意思ですから」
「主人公に仕えるのは女の子達ばかりなのね」
「ハーレムにしたかったんです」
「それなのに、実は買い取った奴隷たちがみな、実は魔法電池で動いている魔法人形で、それを操ってるのが辺境伯だと気づいて怒って辺境伯の所に怒鳴り込むのね」
「正確には魔大戦で死んだ人々を死霊術で蘇らせて時空魔法で腐敗しない様にした後で魔法電池を仕込んで奴隷に仕立て上げてたんです」
「それで他の住人が納得してたなら別に良い気がするんだけど、主人公側の方が一方的に辺境伯に喧嘩を売ってる様な」
「イケメンは悪なんです」
「……それはともかく、そっから延々と辺境伯と主人公のバトルシーンになるのね」
「バトル以外にやる事が無くなったんで」
「それにしてもバトルシーンが長すぎない?何万文字あるのかしら」
「バトルになると筆が乗るんです。呪術廻戦でも最近ずっと戦ってばかりです」
「何で男の子はバトルばかり描きたがるのか不思議ね……それに、水魔法を使う主人公の方が、他の属性を全て使える辺境伯より強いのはどうなの?」
「水魔法は最強なんです」
「結局、辺境伯の正体はドラゴンだったのね」
「やっぱりファンタジーと言えばドラゴンです」
「でも、主人公はドラゴンになった辺境伯をを簡単に倒してしまうのね」
「主人公は強いですから」
「ドラゴンなのよ」
「ドラゴンですね」
「ドラゴンは、とても強いのよ。ホビットの冒険、読んだ?とても強い生き物なのよ。あらゆる生物の中で最強なのよ」
「主人公はもっと強いんです」
「……釈然としないけど、まあ良いわ」
「最近のドラゴンはインフレ気味なんです」
「倒したドラゴンの肉を、主人公が食べるのね」
「殺してはいませんよ。尻尾を少し頂いて焚き火で焼いてステーキにして食べるんです」
「ピッ●ロ大魔王に修行つけられてる悟飯ね」
「姉が鳥山●先生オマージュに気づいた」
「でも、味の感想が……」
「雑でしたか?」
「〝ハンバーグは外側は黒く焦げているが、中は生で、ひとくちに言えば、うまかった〟……これって……スティー●ン・キングの『スタンド・バ●・ミー』のハンバーガーを食べるシーンの描写そのままではないかしら」
「オマージュです」
「パクリでは」
「引用です」
「……そう言う事にしておくわ」
「すいませんパクりました」
「以後、気をつける事ね。辺境伯を倒した主人公は、その後辺境伯の領地を乗っ取ってしまうのね」
「譲り受けたんです」
「一方的に襲いかかって一方的に倒してその上領地を奪うとか、主人公は山賊なの?」
「勇者です」
「奪った領地で馬鈴薯を栽培し始めたわね」
「これで食糧難ともおさらばです」
「今度は『まお●う魔王勇者』のパクリかしら」
「オマージュです」
「馬鈴薯の栽培の次は、コーヒーの木を育てるのね」
「貿易で儲けるんです」
「異世界には今までコーヒー木は生えていたのにコーヒーを作ると言う文化がなかった……と言う所に着目したのね」
「塩とかスパイスで貿易する話は山ほどあります。ですが俺は、コーヒーに目をつけたんです。これはまだ誰もやってないでしょう」
「残念ながら、とっくに筒井●康隆先生が『旅のラゴス』でやってるわ」
「既にやってた!しかも巨匠だった!」
「その後、奴隷商から買った卵が孵化して育ったら女の子になったわね」
「銀貨百枚で買いました」
「こんどは『盾の勇者の●り上がり』のパクリよね」
「オマージュです」
「それはそうと、登場人物なんだけど」
「まだ何か」
「アリシアとアリエールとアミリアとアリスティアとアーシアとアミレアが同時にいると、名前が似過ぎてて誰が誰だか分からないの」
「アリシアは村娘でアリエールは人魚でアミリアはギルド受付嬢でアリスティアとアーシアはギルドのウェイトレスでアミレアは団子屋の娘です」
「全部把握してるのは逆に凄いわ。でも人魚にその名前はやめておいた方がいいわ。あと、キャラクターの性格が皆似過ぎててのも問題あるわ」
「皆良い子なんです」
「名前似てるのに性格までみんな同じだと、読む方は誰が誰と話しているのか分からないわ」
「では、どうすれば」
「対比を使うのよ。二人いるなら、それぞれ真逆の性格にするのよ。熱血体力君がいるなら、対になる冷静沈着頭脳派君も同時にだすみたいな感じね。田●芳樹先生もそうやって銀●伝のキャラクターを作ったそうよ」
「ちゃんと役立つアドバイスだった」
「あと、最後に一つ」
「なんでしょう」
「この話、中途半端なところで終わってるのだけれど」
「書くのに飽きてきたんです」
「まさかエタらせるつもりかしら……それは一番の悪よ」
「姉ちゃん、そんな事はないですよ。書きかけでも良いって『スー●ーカブ』のトネ・●ーケン先生もカクヨムのインタビューで語ってましたよ」
「ト●・コーケン先生は一つの成功体験にしがみつくのはよくないからシリーズの評判が芳しくない時は自分で見切りをつけようと仰っているだけなのよ。完結しなくて良いとは言ってないわ」
「そうだったのか」
「じゃあ、早く続きを書きなさい」
「わかった。でもその前に」
「その前に?」
「小説のネタ集める為にちょっとドラ●エやってくる」
完
姉ちゃんに俺が書いたラノベを見せたら感想くれた。 海猫ほたる @ykohyama
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