第3話 安寧




しばらく歩くと 街のような所にたどり着いた。


朱音「ここがうちら鬼,獄卒が住んどる街。獄都街や。」

 

獄都街。街並みは和風で 赤色が多い印象だった。

 

朱音「着いたで。ここがうちらの詰所や。」


獄都街の少し外れた所にある 朱音さんの家に案内された。

 

「お邪魔します...」

朱音「ええよ。遠慮せんと上がりぃや。」

 

家の中はいい匂いがして落ち着いた。彼女に居間へと通される。


朱音「そこ座り。」


彼女に言われた通り座る。先程の地獄での苦しみが嘘の様だ。

 


  「助けていただきありがとうございました」

朱音「ええよええよ。...さて。お前さんが何で自決を選んだか。一から聞かせてもらうで。嫌なら...また等活地獄落としてもええんよ?」


そう言われ少し身震いし 全てを話した。


朱音「なるほどなぁ...。現代社会...中々に辛そうやねぇ。うちは昔から此処にいるから分からんけど そっちも中々に地獄なんちゃう? 」

「...否定はしません。」

朱音「せやろなぁ。だってお前さんが自決した理由が理由やもんね。」

 

真摯に話を受け止めてくれる朱音さん。鬼も人間と同じく色々ある様だ。

 

朱音「まぁ...今日は休みぃ。色々あって疲れたやろ。風呂は沸いとるから入ってき?」

「ありがとうございます..。では お先に失礼します。」

朱音「ほなごゆっくりな。風呂は部屋出たら左手にあるわ。」

「分かりました。」

 

部屋を出て風呂場へ向かう。

脱衣場は和風で落ち着いた雰囲気の所で 着ていた死装束を脱ぎ風呂に入る。

 

「はぁぁ...」

 

思わず声が漏れた。此処は本当に地獄なのだろうか。現世よりも天国に近い気がする。

 

「極楽だ..」

 

風呂から上がると 朱音さんが料理を作って待っていた。改めて見ると朱音さんは身長がデカい。2mは超えている。思わず見惚れていると 彼女が振り返った。

 

朱音「あ。風呂上がったんね。湯加減どやった?」

「はい...とても良かったです。」

朱音「そりゃ良かったわぁ。ほな冷めんうちに食べよか。」

「はい。」

 

机に向き合う。

 

朱音「いただきます」

「いただきます」

 

料理は和食でとても美味しかった。だが一つ気になる事がある。

 

「朱音さん。その生肉...何ですか?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

獄樂情怒 ヤトミ @Yatomi369396

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ