第2話 鬼の声




その瞬間。頭が骸骨になった者が取り押さえた。


骸炉「自殺とは情けない。下らぬ生を悔い改めよ。」


強い力に縛られ 等活地獄へ連れられる。あの辛い現代社会から逃げただけなのに 地獄でも苦しめられるとは。

_______________


骸炉「皆の者!彼を等活地獄に落とす!」

 

すると周りは炎に包まれた。熱と辛さが体を襲う。

「ぐああぁぁっ!!!」


身体を切り刻まれる痛みに ただただ叫び声を上げるしか無い。


骸炉「貴様には其れが相応しい。」

  「うああああああっ!!」


段々と意識が薄れて行く。まるで最後の望みを断たれたかのように。


「あ...あぁっ...」


そして 目の前が暗転した。だが


骸炉「活きよ。活きよ。活きよ。」


また意識を取り戻したが 再び身体を引き裂かれる痛みと熱に襲われる。終わらぬ苦しみに悶え ただ叫び声を上げるしか無い。


「うあぁっ!!」


地獄から抜け出す方法はただ一つ。その刑が終えるのを只管待つ事だけだった。その時。


?「んっふふ...随分と楽しそうやねぇ...。」

 「だっ...誰..?」

?「別にただの鬼女やで..。お前さんの事を小耳に挟んでな...。なぁ骸炉?こいつ生かしておいた方がええと思うんやけど?」


謎の女性とあの骸骨が何か話しているようだが 苦しみのせいであまり聞こえない。


骸炉「朱音様。罪人情けは無用です。」

朱音「ん?うちの言う事が信じれんの?」

骸炉「そんな事は...。」

朱音「なら...活かしておいて良いんちゃうん?骸炉。うちはこのお人活かして欲しいんやけど。」

骸炉「朱音様がそう仰られるのでしたら 是非ともそのように。」


その瞬間。身体の傷が回復し 死を待つだけの苦しみから解放された。


骸炉「罪深き罪人よ。朱音様へ感謝するが良い。」

朱音「ふふ..お前さん...可哀想になぁ。うちはなぁ...お前さんを見てて...何か感じたんよ。」

  「ありがとうございます...。ありがとうございます...。」

朱音「ええんよ?うちの家行こか?もうお前さんはうちのもんやさかいな。」

  「朱音さん...」

朱音「うちの名前覚えたんか?ええ子やなぁ..。ほな行こか?」

骸炉「朱音様、その罪人は如何様に?」

朱音「うちの好きな様にしてええやろ? うちは今日からこのお人と暮らすわぁ。」


『朱音』と言う鬼女に手を握られる。その手は暖かく不思議と安心感があった。


朱音「うちに任しときや?悪い様にはせぇへんさかいな。」

  「ありがとうございます...。」


ふと彼女を見た。先程は苦しみに包まれてあまり見えなかったが その美しさは 絶世とも言える美しさだった。

 

「あの...貴方は..鬼ですよね?」

朱音「そうやけど...それがどないしたん?」

「何で助けて下さったのですか?」

朱音「なんやの。そないに難しく考えんでもええよ?後で話聞かせてな?」

 

そう言われ 無言で頷いた。

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