一話一話を大切に読みたい、美しく淫らで儚い世界

いにしえの香港や日本の明治大正を思わせつつも、退廃的な未来都市の香りも放つ、不思議な世界観。
そんな世界の片隅に、異形を扱う娼館がある……。

これだけでもゾクゾク来てしまう設定なのに、言葉選びが秀逸で、ひとことひとこと、ゆっくり味わいながら読みたくなる作品です。

嗜虐的で救いのなさを感じるのに、すべてが悲しいほどに美しい。
溺れたら二度と這い上がれないとわかっていながら、それでも異形たちに惹かれてしまう……。
目をつぶるとその妖しい光景が、まぶたの裏に浮かぶようです。

魔都の娼館、『戀歌楼』に、あなたも足を踏み入れてみませんか?

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