第20話 エピローグ
昼間の日射しがまぶしい。
気がつけば陽光の中に立っていて、俺はパチパチと目をしばたたかせていた。
呆然としている俺の横を、急ぎ足のサラリーマンが足音高く通り過ぎる。
何をそんなに急いでいるんだ? と思うけれど、向こうにしてみれば学生は気楽でいいよなとでも思っているんだろうな。
駅前の広場は、変わらず待ち合わせをしている人々で、溢れている。
――――俺は、一瞬の間に長い白昼夢を見ていたのだろうか?
そう思ってしまうくらい、それは変わらぬ日常だった。
(でも、違う)
俺が夢を見ていたんじゃないって事は、何より俺がわかる。
だって、俺が、俺自身が、変わっているんだ!
俺は顎を引き締め、自然に背筋を伸ばす。
以前は、下ばかり見ていた顔を上げた。
これからアディはたいへんだろう。
ティツァやサウリアも、コヴィやエイベット卿だって大忙しのはずだ。
(負けてらんねぇよな)
俺は思う。
――――そのまま、歩き出した。
空は青く、雨の気配は欠片もない。
それなのに俺の髪がまるで雨に打たれたかのように濡れている事に、すれ違った女子高生が驚いたように振り返っていた。
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