第3話 あれから。
大人になった今、あれから、私は通信制高校のNHK学園に復学し、無事1年間で卒業した。大人になった私は思考の整理学エッセイ賞や九州芸術祭文学賞での受賞など結果が出るようになった。これは数少ない白歴史である。思考の整理学エッセイ賞を受賞してから私は東大のギフテッド創成寄付講座に参加する機会に恵まれた。高校1年生の頃、合格できるかもしれないと先生から言われたあの東大だ。こんな悲惨な人生を歩んだのに東大はこんな私を受け入れてくれた。嘘みたいな話かもしれないが本当にあった話だ。この経験は黒歴史ではなく、紛れもなく白歴史だと思う。
東大のギフテッド創成寄付講座で私は知能検査で言語理解の数値が160近くあるが、動作性IQが精神薬を飲んでいる影響で境界知能だ、と指摘された。それを知って私は自分の生きづらさが知能指数の凸凹にあると分かり、納得した。一人分のIQの凸凹があればこんな人生を歩んでしまったのは理由があった。今の私はどんなに言語理解のIQが160近くあると言われても全然誇らしくもなかった。今まで何度閉鎖病棟で泣いて死のうとしたことか。何度も死のうとして底を這うような思いをしてきたから浮足立つことも出来なかった。
今は黒歴史と白歴史が交わり、灰色歴史のようになっているかもしれない。そんな自分でもいいと思える。審査委員の市川沙央さんのように何度落選しても諦めなかったように私も何度裏切られても生きることを諦めなかった。カクヨムコンでは4作品も中間発表に通過できた。私も市川沙央さんのように何度も落選してきたが諦めないつもりだ。
こんなにきつい人生を歩んできたが生きていれば必ずいいことはある。このエッセイを読んで一人でも生きてみよう、と思えば私は嬉しい。
このままなら東京大学も夢じゃない、と先生に言われたのに高校を5回も変わった話 詩歩子 @hotarubukuro
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