とある古代共和政体の、華々しくも虚しき物語。

読了。かの偉大なるローマを思わせる国家と、雄々しく戦った凱旋将軍ガラムスの一代記でした。

搾取と略奪が当然となってしまう刹那的な世界。政争に明け暮れる民主政の限界。モノ同然に扱われる無名の人々。落ちぶれる恐怖と隣り合わせの一族と議員たち。理想を抱くも、目前の現実に変節を余儀なくされる者。この物語は記している。

無明の時代にあって、たしかにガラムスは真っ当であった。そして、物資も技術も限りある世界に秩序と文明をもたらすには、永遠にして絶対なる独裁者が要るのだろうか。しかしそんなものはあり得ない。当然、英雄ガラムス自身の結末も……。

そして誰が頂点に立とうとも、多大な犠牲と多少の安寧を繰り返しながら、このラーマもまた雄大な歴史の変遷を辿るだろうか……。そう思わせる感慨深い作品でした。