第6話 修行の道
妖精はその言葉を聞いた途端、急に目が夜空に輝く星のようにきらきらと輝きだし「あなた様ならきっとそう言ってくれると信じていました」と喜びの言葉を始めに伝え、そして簡単では合ったが話を聞かせてくれた。「修行の目的はフィルコバの能力を使いこなすことです。フィルコバと言うのは特別な七色の草花のことを総称したもので、それぞれのフィルコバには火、水、風、雷、影、空、そして地といった、体内に取り込んだ者に属性能力を与える特別な草花だと思って頂ければいいかと思います。そしてそのフィルコバは、それぞれ摘み取られてから100年間ゆっくり時間を掛けて私たち妖精の村に咲き、私たち妖精の導きによって人類は初めてフィルコバという存在に辿り着けるようになっております。また今年そのフィルコバが一輪咲いたのです。そしてあなた様にこの力の一つを授け、森をそしてこの世界を守ってもらえれば嬉しく思います。」とフィルコバについての説明を受けた。ユウトは未知の話を聞かされた為、頭の中が混乱した。「ちょっと待ってくれ。フィルコバ?その力を使いこなすってことは、その前にその力を手に入れる為に妖精の村っていう所に行かないといけないのか?その村はどこにあるの?まさか、空の上とか言わないよな?」と右の人差し指天に向け尋ねる。妖精は「そんなまさか。私の管轄する山は幸運なことにここから西に進んだ大きな山でございます。少し遠回りになりますが、その山はとても自然が綺麗で美しいですよ。修行はフィルコバを食べた後、ユウトさんの目的地である町に向かいながら行いましょう。それでどうでしょうか?」それを聞いたユウトは「そうだったのか。せっかくこうして話を聞かせてもらっている訳だし、少し寄り道して行くか。」と好奇心も少しあり妖精の話に乗っかることにした。そして「属性があるって言っていたけど、自分で選べるのか?空ってなんか自由な感じがしていいなぁって感じてさぁ…」と好奇心な質問もしてみた。それに対して妖精は「残念ながらそれは選べません。私は風の導きをする妖精なのでございます。そのため、あなた様には緑のフィルコバを手にすることになります。」と属性ごとに決まった妖精がそれぞれいるようだ。ユウトは「決まっているのか。風の能力だと響き的にかなり矢のスピードとか上がりそうだし、弓矢と相性が良さそうで丁度いいかも。」とこれからの事に関して妄想をし始めた。妖精は「そう言って頂けて嬉しいです。ですが、使いこなすための修行は厳しいですよ。」と笑いながら言った。「なんとか風の力を自分のものにしてみせます!」と調子よくそして得意げに答えた。ユウトは少し眠たそうで欠伸をし「すみません、少し休みます。続きは明日でもいいかな?」「もちろん。おやすみなさい。」と囁くように妖精は答え、ユウトは洞穴の中で焚火の火に温めながら眠り、妖精はこの静かに煌めく無数の星空の下、まだ見ぬユウトの成長への過程を想像しながら舞い踊るように羽ばたいた。翌朝、ユウトが起きた時には焚火の火はすっかり消えており、まだ眠たかったが体を温めようとユウトは日の光に当たりに洞穴の外に出た。洞穴の外には鹿と妖精が居て、どうやら追いかけっこをして遊んでいるようで、鹿が妖精を追いかけ、妖精が鹿から逃げているように見えた。妖精はユウトに気が付き、ユウトの方に向かって羽ばたきながら「おはようございます。よく眠れましたか?」とユウトに声をかけた。「あぁよく眠れたよ。それより、今日には昨晩話してくれた西の大きな山の麓まで辿り着きたいから、早めに…」と話している途中、妖精がユウトの視界から消え、妖精を追いかけていた鹿がユウトに向かって突進してきた。そしてユウトと鹿は倒れ、妖精が「大丈夫ですか?」とユウトたちの上に姿を現した。ユウトは「おい、酷いじゃないか。」と呆れた声で返事をし「すみません、反射的に。」と妖精は言い訳をした。鹿の突進で完全に目が覚めた。荷物をまとめ一晩過ごした洞窟を後にし、木々からの木漏れ日が心地よかった。日の光を浴びながら歩いて体をほぐそうと決め、鹿に乗って移動するのはもう少し後にすることにした。ユウトたちは西へ向かう途中、昨晩の続きの話を話しあった。「100年に一度ってことは100年前にも能力を手にした人がいたってこと?」ユウトは妖精に聞いた。「はい、しかし今まで上手くコントロール出来た者は一人だけと聞いております。コントロール出来ないとフィルコバの強烈な力に体が蝕まれ死んでしまいます。そして力をコントロール出来た一人は、今向かっている山の自然を愛しており、山の自然を管理してくださいましたが、もう既に天国へと旅立ってしまっています。」とさらっと恐ろしいことを言い放った。それを聞いたユウトは「えっ?!死ぬ!!?俺にコントロール出来ると思う?死と隣り合わせの能力。そんなこと聞いてないし。やっぱり恐いよ。」と率直な思いを口にした。妖精は「驚かしてごめんなさい。コントロール出来なかった人たちは、フィルコバを体内に取り込んだ後、私たち妖精を無視して修行をせずにどこか行かれた者たちのことです。あなた様は私の修行を日々努めていただければ、間違いなくコントロール出来ると私が保証します。ご安心ください。」と妖精は誤解のないように説明を加えた。そこでやはりユウトが気になるのは、その修行の内容だった。「その修行の内容とはどんなことをするの?」と尋ね、妖精は「簡単に言うと、風を自分に纏えるようにするのです。どの能力もコントロールには集中力が不可欠です。その基盤となる精神力を鍛える必要があります。そう、つまり精神力、集中力を鍛えるため瞑想を毎日5時間はやってもらいます。そして風を纏えるようになったら…。まぁまずは風を纏えるようになりましょう。」と、ユウトに最初の課題は瞑想を毎日5時間やることを伝えた。ユウトは、(思っていたより簡単だね)そんなことを心の中で思いながら「分かりました。その風をコントロールする修行、受けます!」と修行を受けることをユウトは決心した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます