第6話 「アステロッテ」アニメ化

「『アステロッテ』、アニメ化! おめでとうございます! お父さま、お母さま、みことお兄さま!」

 長女のゆらが万歳している。

「ランドセル下ろしたら?」

 石矢いしや君が呆れている。

「大丈夫です、石矢君。これは、ゆらちゃん小学校入学記念ですので。正座して、ランドセル背負って見ます!」

「ううん、ゆらがいいならいいけれど……」

 腕組みして顔をしかめている。

「きゃあ~! お母さま、アステロッテ、かわいすぎ! お目々がちゃんとみどりですよ!」

「駄目だ、可愛すぎる。音だけきく……」

「エリちゃん、顔真っ赤だ。可愛いなあ」

 美古都みことの顔を見ると、目が死んでいた。

「大丈夫?」

「今日、改めて思った。お父さんにエリーゼさん取られた……」

「いや、今更ですよね?」

 エリちゃんが顔を上げる。

「あららー? みことお兄さまは、ゆらちゃんと会いたかったのでしょう」

「いや、お父さんの子供の顔が見たかっただけだし。ゆらは関係ないし」

 ぷいと横を向く。

「みことお兄さま、ツンデレですね」

「ゆらも大きくなったなあ」

 頭をぐりんぐりんとなでる。

「ねえ、お父さま?」

「んー?」

 緑色の目がキラキラ輝く。

「下の子も! 下の子も小学生になったら、お父さまのお話がアニメになるの? なりますよね! けってーじこーですよね!」

「いや、下の子はお父さんの子じゃないし……」

 目を逸らす。

「え~! 人でなし! お父さまの、人でなし!」

 ぽこぽこ叩かれる。

坂木さかき君。僕と美古都とのぞみ君の子の分は、せめてお話書いてよ。予約!」

 真剣な目で言われる。

「いや、まだ生まれてない子もいるよね?」

「お父さん、世の中にはクラウドファンディングで作られたアニメもあるんだよ」

 突然、エリちゃんが机を叩く。

「『アステロッテ』、観ましょう?」

「はい……」

 全員、静かになった。

 最後まで、見終わる。

「ちょっと待って、リーデン様が息引き取るところ、ちゃんと見てないんだけど?」

 石矢君が挙手する。

「最初じゃないか、石矢君」

「ごめんなさい、ゆらさん」

「じゃあ、初めから観るか」

 美古都が改めて動画を再生する。

 結果、みんなで泣いた。






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美古都のささくれ 神逢坂鞠帆(かみをさか・まりほ) @kamiwosakamariho

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