編集者ガチャ
今回は編集者に関するお話を……と思ったのだけれど、2024年3月半ばにX(ツイッター)で編集者に関する酷い話が流れてきたので、それをまず見てみよう。
「森崎書店の日々」を著した八木沢里志氏が、本作が文学賞を受賞し、映画化までされたにも関わらず、編集者から散々な扱いを受けた話を告白した。
本来、書籍を発行するにあたって利害が共通するはずの編集者が、作家に向かって「こんな本売れるわけがない」などと暴言を吐き、文学賞の主催者側が不当に著作権を奪おうとしてきた際にも、作家を守る役割を放棄し、著作権を明け渡せと要求したという。
詳細については、ここでは触れない。八木沢氏ご本人のポストを見た方が正確だからだ。
私も、変な編集者に遭遇したことはある。だからその話をする心づもりでいたのだけれど、八木沢氏のケースほど酷いのは流石に見たことがない。これでは私の話など、退屈なだけだろう。
小説家であれ漫画家であれ、創作者が出版業界で活動しようとするならば、編集者との関係を避けて通ることはできない。
担当が優秀で責任感のある編集者だったら、申し分ない。
だが、八木沢氏が出会ってしまったような最悪な編集者だった場合は(もちろん、これは流石にまれなケースだろうけど)下手をすれば作家としての一生が台無しになってしまう。
にもかかわらず、創作者側が編集者を選べるわけではない。
編集者に恵まれるかどうかは運まかせというのが恐ろしいことである。事実上、ハズレのあるガチャを回すようなものだ。
ただでさえライトノベル作家は編集者から侮られることが多い。「ライトノベルの編集者から出版社の社長になった人はいない」というけど、つまりライトノベル作家は業界の有力者とコネがある可能性が低いので、その分、扱いが悪くなるのだ。
じゃあWeb上がりの小説家の扱いについてはどうかというと、あまり良い噂は聞かない。
裏を取っていないので話半分で聞いて欲しいのだけれど、どこかの出版社では「なろう」のような投稿サイトで高得点を得て、書籍化にこぎつけた作家には、担当編集と呼べるものが付かないという。つまり、売れれば売れたで続刊を出してもらえるけど、作家を自分たちで育てようなどという意思はさらさらない。だから、売れなくなったらそれまで。
「またサイト上で高得点を取ったら書籍化してあげますよ()」と、そんな扱いだという。
さすがに酷すぎるので、こんな話は嘘であってほしいと思うけど、個人の願望や夢など平然と踏みにじるのがこの業界の恐ろしいところである。本当だったとしても何も違和感はない。
と、ここまで鬱話を振っておいておいてなんだけれど、結局、編集者は作家にとって重要な仕事上のパートナーであるという事実に変わりはない。
もしも作家になれたなら、ガチャで良い編集を引くことを祈りつつ、友好的な関係が築けるように、しっかりとコミュニケーションを取ろう。
単純に性格が良い人、作家の作風と相性がいい人、バリバリ仕事のできる有能な人というのも、いるにはいるのだ。
ガチャで引き当てることができるかどうかはさておくとして――!
ワナビの住処は罠だらけ トダカ @t_todaka
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