逃げたい、愛されたい

「名無しの鏡」それに向かってなりたい名前を唱えると、元の名前が消えて新しい名前に世界が順応してくれる。一見便利なものかと思うが実は大きな代償があった。
名前は「凪」。それは父親の再婚相手、梓さんの前の旦那さんと同じ名前だった。名前が同じだけで梓さんは私を避けるようになっていた。家の中では大好きな父親だけが「凪」と呼んでくれる。しかし梓さんとの衝突時、父親は凪ではなく梓さんを気にかけていた。悔しくて羨ましくておかしくなりそうなとき、凪は「名無しの鏡」を発動させてしまう。「凪」は「愛莉」へ名前を変えてしまい愛される娘になれるよう願っていた。すると梓さんとは普通の母親のように接してくれるようになる。しかし全て順調にいかず……
名前は「奏太」。父親は今を生きる人気歌手、岩津淳一。父親と言っても幼い時…続きを読む