わたしの初恋の終わり方

長月そら葉

第1話 黒歴史

 皆さん、初恋っていつですか?

 今その途中という人も、もう終わったという人も、まだという人も、実ったという人も。色んな方がおられると思います。

 わたしは、小学低学年の時でした。その時の経過は、正直もうバカだったなと思うこともあるのですが、あの頃は真剣だったんですよね。

 そんなわたしの、初恋について少々お話します。


 親が転勤族だったことで、わたしは小学校と中学校を二つずつ行きました。初恋は、二つ目の小学校でのクラスメイトで、親しく話しかけてくれた男の子でした。

 同じアニメが好きだったこともあり、よく話をしていましたね。そうやって親しくなる男の子は初めてで、ほとんど一目惚れだったと記憶しています。


 小学校の残りの期間、奇跡的に全部クラスが一緒でした。何人かそういう子がいたのですが、彼もその一人でした。当時のわたしは、とても嬉しかったです。


 わたしが彼のことを好きだということは、おそらく彼を含めその友だちやわたしの友人にも知れ渡っていたと思います。わかりやすかったんでしょうね。態度などに出ていたのかもしれません。

 しかし、何もないまま小学校を卒業しました。修学旅行で同じ班になり、良い感じになったこともあったのですが、わたしには告白する勇気などありませんでしたから。


 中学校は、そのまま地元の学校に進学しました。彼も同じ学校でしたが、クラスは分かれてしまいました。

 そして、わたしは一年生の秋に突然転校することになったのです。親の転勤でした。


 転校する前の最後の登校日、友人が偶然見つけたわたしの初恋の人に、と偽情報を伝えてしまいました。わたしは訂正することも出来ず、まあ来ないだろうと高をくくって一日を過ごします。


 帰りの会でクラスメイトがお別れの会を開いてくれました。メッセージカードもみんなから貰って、とても嬉しかったことを覚えています。

 それから放課後となり、わたしは数人のクラスメイトと教室に残って話していました。黒板の端に住所を書いて欲しいと頼まれ、新しい住所を書きもしました。

 しばらくして昼間に偽情報を流した友人が、彼が廊下に来ていると教えてくれました。まさかと思いましたが、本当だったんです。


 わたしの心臓は大暴走していました。

 待たせておくのも申し訳なく、わたしは彼の前に立ち、しばらく何も言えませんでした。おそらく、数分はもじもじしていたと思います。

 それでも彼は待っていてくれ、わたしはようやく「〇〇くんのことがずっと好きでした」といったことを伝えられました。すると彼も同様のことを言ってくれ、両思いだと判明したのです。


 彼は部活があったのでそのまま行ってしまいましたが、わたしは体の力が抜けてしゃがみ込んでしまいました。友人たちにはよかったねと祝われましたが。


 その後しばらく、携帯電話を持っていなかったわたしは彼と連絡を取れませんでした。手紙は送りましたが、返事は来ず。

 中学生になって携帯電話を持たせてもらい、メールアドレス等を書いて送ったこともあります。


 終わったかなと思ったある時、彼から電話がありました。携帯を買ったから、とメールアドレスも教えてくれて。(当時、スマホはまだなかったんですよね……)


 それから気をよくしたのであろう当時の私は、毎晩のようにメールを送りました。今考えると、かなり鬱陶しいタイプの奴ですね。律儀に変身してくれていた彼には、感謝するしかありません。


 新しい中学校では、転校生ということもあってかいじめられました。仲間外れにされるとか、無駄に大きな声で聞こえるように悪口を言われるとか、そういうことです。

 そんなもんかと言われるかもしれませんが、当時のわたしには辛く、死に方を考えたこともありましたね。

 いじめのことも、その他どうでも良いことも、彼にメールで送っていました。彼の言葉が、どうにか毎日学校に通うための処方箋のようなものだったのです。


 そんな日々を続けて、大学入試が近付く頃のことだったと思います。彼から「今後忙しくなるから連絡出来ない」という旨のメールが送られてきました。

 当時のわたしはそれをそのまま受け取り、落ち着いたら連絡があるものと思っていたんです。……勿論、あるわけもなく。現在に至ります。


 数年後には何となくわかってました。自然消滅というか、遠ざけられたのだろうと。

 何年か引きずり、今はほとんど吹っ切れたはずと思っています。まあ、これを書いている時点で少し悲しい気持ちにはなっているのですが。


 その後、わたしは誰かに恋をすることはありませんでした。良いなと思ってもそれで終わりで、今も好きな人はいません。芸能人の推しはいますが、一般人のわたしがその方と友人になることもないでしょうから、憧れで終わるでしょう。その方が幸せであれば、それで良いので。


 これが、わたしの黒歴史(?)です。

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