未知の恐怖に目を塞ぎたくなる矛盾

文章なのに、嫌なら目を滑らせればいいのに、それなのにどうしても映像として目に入って後悔してしまう残酷な描写。だれもが気軽に使ったことのある伝承をモチーフにした純粋なホラーとして、あまりにもゾッとさせられる。

そして解決したかと思えば最後の声。

縁切りとは?

本当に許しを得たのか?

誰のための許しか?

もはやどうしようもないのか。

作者さんの作品には、排除された人の憎しみ、孤立、その世代的な継続という人間の醜い歴史が根底的な恐怖を形作っているように思う。それが顕著な今作では、過去の歴史、そして習慣として馴染んだ異物的な経験という、特定の目線では気づけないものが物語の鍵となっている。
知らないことに対する無力感、絶望、成り行きを待つだけの果てしない恐怖に逃げ場を失ってしまった......