目に見えない筺の廻間より覗く、闇。

深い譚である。
『怪談』とは。【因縁や、乗り越えてはならない 間仕切 があって、その偶かの 越境 により、恐ろしい怪異が生まれる】そんな一連の定理があるように思う。それは古今東西を問わない。人が『人』である限りは。

 常々、思うのである。

何故に、敢えて関わりを持とうとするのだろうか。或いは、端から放棄して耳目を閉ざすのか。
 だが。そんな隙間にこそ、怪異は顕現するのだろう。

呪と祝は本来、同義のもの。悍しい『筺』の呪いは、開いて初めて『何か』へと貌を変えてゆく。それが災厄を継承して行くものなのか、或いは…。


人は幾らでも想像する事が出来るのだ。
想像し、仁恕を以って文字へと興す。
そして伝播して行く。

それが物語の唯一の『救い』とならん事を。