後編

「だーかーらー、未空は箱を開けたから呪われて死んだんだって!」


 あの後、俺の家に家宅捜索が入り、未空の死体が見付かった。そして、俺には未空殺害の容疑が掛かっている。


「畠山芳樹さん、あなた現代において呪いがあると本気で信じてるんですか?」


 警察官は俺の言う事を全く信じてくれない。


「だから、俺は占い師にあの箱を渡されて……」

「あの箱ね、よーく調べさせてもらったけど、ただの木製の箱だったよ?」

「でも、あれを開けたから実際に未空は死んだんだ!」

「あーあーあー、その言い訳は聞き飽きたからさぁ……」


**

***


 あの後、俺は精神科病院に入れられた。刑事罰には問われないそうだ。ただ、この独居房とも言える閉鎖病棟の隔離室から、一生出られないらしい。


 俺は占い師に箱を手渡されただけなのに……。


 俺は開けてないのに。が勝手に開けたのに……。


 でもババァ、お前の占いは見事に当たったよ。まさに俺は、──。



────了

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

箱をもらっただけなのに 無雲律人 @moonlit_fables

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ