第29話 能力を考察しよう
フレトラを設立した翌日の朝早く、黄泉は家がはまっている洞窟の前で、漫画を開いてぶつくさと呟いていた。
「P45P1R…P44P2R…P45P2L……」
「何やってるのヨミお兄ちゃん?」
「あ、おはようミーナ」
黄泉の前に現れたのは焼き魚を乗せた大皿を運んできてくれるミーナだった。
わざわざ朝食を持ってきてくれたのか。それにしてもやっぱりこの子可愛いよな〜。村にいた女の子達も可愛いかったけど、ナードベアの中ならミーナが1番可愛い。
……耳とか触らせてくれないかな。モフモフしたい。気持ちいだろうな〜。
願望を膨らませる黄泉。口には出していなかったが、顔がデレデレしていた黄泉を見てミーナは少し引いてしまっていた。
黄泉はそれに気づいてすぐさま顔を通常に戻して、ミーナにやっていたことの説明をする。
黄泉が行っていたのは自分の能力の確認であった。ヴァルドランの手紙では全くわからなかった能力。流石にコーラを召喚するだけが能力とは思えない。なので黄泉が使えた魔法の呪文『P45P2R』から能力を考察しようとしていたのだ。
P45P2R、多分だけどP45っていうのは漫画のページのことだと思うんだ。実際に今週のサタデーの45ページの上から2段目の右側にはよかコーラの絵が書いてあるのだ。だからP2Rっていうのも上から2段目の右って意味だと思ったのだが。
「P45P2R!」
黄泉の叫びに呼応して手のひらにはコーラが召喚された。
「それがお兄ちゃんの魔法!。すごいすごい」
「これだけじゃないと思うんだけどな。ミーナ、これ飲むか?」
俺はミーナによかコーラを差し出すが何故かミーナは警戒してくる。理由を聞くとナックルベアを壊滅させた物なんて飲めないと言うではないか。
コーラが危険か、確かに病みつきになる危険な飲み物ではあるけど。
黄泉はミーナの反応がおかしくて笑ってしまう。ミーナには黄泉が笑っている理由など分かるわけもなく、笑われたことにムスっとしてしまう、やばいと思った黄泉はコーラを自ら飲んで危険じゃないことをミーナに示し、ミーナに手渡す。
「本当に大丈夫?」
「俺も今飲んで大丈夫だろ。ほら飲んでみて、美味しいから」
黄泉の言葉を信じてミーナはコーラを口に入れる。最初はビックリしていたが美味しかったのか、ミーナは勢いよくコーラを飲み干すのであった。
「何このシュワシュワ!すごく美味しい!」
「だろ。コーラって言うんだ」
やっぱりこの世界にはコーラはないのだろう。俺はまたコーラを召喚してミーナに渡す。ミーナはこんなの初めてと言いながら次のコーラも一気飲みする。
喜んでもらえるのは嬉しいが、自分の能力がこれだけじゃダメだと思う黄泉。
「P45P1R!……やっぱり出ないか」
45ページの1段目の右側、そこには『
呪文配列の考察が間違っているのか、もしくはそもそも攻撃技みたいなのは召喚できないのか。
まだまだ思考する必要があるのだった。
本当にコーラ出すだけの能力だったら許さないと思いながら黄泉はコーラを飲むミーナの横で能力を試行錯誤してみるのであった。
試行錯誤を続けて体感2時間ぐらいだろうか
「…………え、嘘でしょ?」
色々と呪文を試してみた黄泉は自分の召喚したものに驚きを隠せなかった。
P224P1L、224ページの1段目の左側。その呪文を唱えた瞬間に黄泉の目の前には自分の3、4倍はあるであろう、大きなクマのぬいぐるみが召喚されたのだった。
クマのぬいぐるみを見たミーナは大はしゃぎ、ぬいぐるみのお腹に飛び乗りモフモフしていたのだった。
俺もモフモフしたいな……いやいや、それは後回しで。どういうことだろう?。今までのページは全部不発に終わっていたというのに、P224P1Lの時だけは召喚に成功した。
P45P2RとP224P1L。この二つの共通点が分かれば何か掴めるかもしれないのだが……何にもわかんない。
何となくページ、段、左右と言う英語の流れになっているのかと目星をつけた黄泉だったが、224ページの時だけしか召喚されないのを見てますます自分の能力がわからなくなってしまった。
よかコーラと大きなクマのぬいぐるみ、今のところこの2つがとりあえず俺の能力って事になるのか。
「……やっぱ俺ダサくないか?」
黄泉はもっと派手な魔法とかを期待しているのに、出せたのがこの2つ。ヴァルドランからもらった能力が何なのかはまだよく分からない黄泉であった。
本を片手に異世界転生。魔導書ですか?いいえ、漫画本です!〜戦略級漫画士、立ち読みのヨミが世界を変える?〜 ゴシ @54540054
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