伝説の大賢者が住んでいた部屋

　男は魔法使い。彼はとある目的のためにある物件を探していた。何度も調べ、内見を繰り返し、彼はついに探し求めていた部屋を発見する。そこが空き家であった事を、その物件がまだ存在していた事を、男はとても喜んだ。
　念願の新居に住み始めた彼は、おもむろに壁に向かって魔法を使う。そう、それが彼の目的だったのだ――。


　登場人物紹介

　男
　孤高の魔法使い。罠解除系の魔法を極めている。大賢者の生涯に興味を持ち、その秘密の研究をライフワークにしていた。危ない仕事も引き受けてきた経緯からその筋にも人脈がある。

　大賢者ムーヴ
　かつて時代を先取りしすぎて誰にも理解されなかった大魔道士。弟子も取らなかったため、死ぬ間際に自分の得た知識をとある方法で後世に残す。今では、その失われた知識を多くの権力者達が喉から手が出るほど欲しがっている。