第4話「艶姿除霊師さん」
【除霊します】のチラシを1万部配り終えた頃、仕事が来た。
「報酬は?」
「先生、今度デートしてください(ハート)」
それは、元家庭教師の生徒からの依頼だった。その子の友達が不登校で引きこもりになったのだが、どうやら悪霊のせいらしい。その除霊を頼まれた。
除霊グッズを背負っていざ悪霊の住む家へ
今回は、護摩焚専用の焚火セット。部屋で焚火なんて良い子はするな。
ご両親に許可を取って、いざ二階の子供部屋へ
少女はベッドに座っていた。ただこっちを向いて座っているだけなのに、オレの瞳には黒い
その霊圧は、まるで
全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れの様だった。
「ヤベーな。これは悪魔憑きだ!」
世の中には魑魅魍魎がいる。コイツに憑かれると弱い者なら風邪をひいた程度症状で済む。が、悪魔なら憑依されただけで即死レベルだ。
そんな強い怪異が悪魔憑きだ。
「オレには無理だ!」
半分諦めかけた頃、優しい音色の声がオレを包んでくれた。
「あら祭壇を建ててくださったんですね? これで除霊が捗ります」
ササさんとの再会だった。恐らくご両親が頼りないオレを危惧して専門家を呼んでくださったのだろう。ブッキングとも言うが……。
すぐに巫女服のササさんと悪魔憑きの少女との戦いが始まった。
少女のモノとは思えぬ重低音の声が室内を震わせる。
「オマエハ イッタイ ナンノナノダ」
「ハイ、
「ワタシモ ジュウハッサイ ダガ アクマツキ デ イチロウ シテ シマッタ ノダー」
舌戦も実戦も拮抗していた。悪魔憑きの少女は上半身を露わにして霊圧を放つ。ササさんも巫女服の裾を乱して応戦する。
少女の乳房と巫女の乳房の一騎打ちだ。
自分が戦わなくて良くなったので、オレは気軽な観戦モードに突入してしまった。
戦いは明け方まで続き、ササさんに軍配が挙がった。
ほぼ全裸で倒れ込む2人に、オレはシーツを掛けて凌いだ。
戦い終えたササさんがオレに気づき遅れ馳せながら挨拶してくれた。
「はじめまして、
ショックな事に、オレの事を覚えていなかった。
「オレはあなたの2度目の男ですよ!」と説明した。
「あらまあ、私の彼氏さんでしたか?」
とても気持ち良い勘違いをされた。
その後、ちゃんと説明して理解してもらった。
「あなたが祭壇を建てて、灯りを灯してくださったので、迷わず悪霊に辿り着く事ができました。感謝を──」
「オレは除霊がからっきしで──悪霊を見つけるのは得意なんですが──」
「あら、私たち噛み合いますね? どうか一緒になりませんか?」
交際の申し込みではないぞ──除霊の仕事で手を組むという事だ。
そしてオレ達は、仕事上で付き合う事にした。
「これから何てお呼びしたら良いですか?」
「ウコンで……」
「私は、ササとお呼びください」
くれぐれも言っておくが、オレ達は、仕事上で付き合う事にしたんだからな──!!
▽ ▽ ▽
バッファローネタ使いたかったんです。ごめんなさい。
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