第2話「目指せ除霊師」
オレが除霊師の仕事を生業にするきっかけの話をしよう。
皆さんは事故物件という言葉をご存知だろうか?
住宅には、物理的
物理的瑕疵の物件とは欠陥住宅のこと。
心理的瑕疵の物件とは事故物件のことである。
その中で、もっとも住人を脅かす物件。住人に何かしら怪異現象をもたらす、それが怪異事故物件である。
もっともそんなに当たりを引き当てることもないのはご存知の通りである……。
オレは大学時代、安アパートを探していた。
お金がないので禁断の事故物件に手を出してしまった。
いざ住んでみるとポルターガイストの頻発する怪異事故物件だった。
チキンハートであるオレは公園で夜を明かすこととなった。
これが大学の合コン前日の話だ。
大学の合コンはオレの憧れだった。色取り取り選び放題だったのだが、今のオレは公園で寝泊まりする浮浪者の状態だった。何でも良いから仲間と夜を明かす口実が欲しかったのだ。
合コンが終わり。待望のお持ち帰り。オレと同期の友達とセンパイがそれぞれ女の子を伴って、オレの下宿先に泊まった。
センパイは、早速女の子とイチャイチャし始めるし、オレの相手は友達に取られた。
残ったのは、オレと友達が連れてきた彼女だった。友達の好みとオレは全く違うらしい。勝手に盛り上がるカップル達を尻目に、オレはふて寝してしまった。
残された彼女は、可哀想に怪異の蠢くアパートで独りきりになった。
こう言う状態は良くないんだ。残された彼女は怪異に取り憑かれた。
夜中、オレが目覚めた時には、白目を剥くセンパイと友達。女の子達は取り憑かれた彼女に襲われていた。
最初はレズなのかと思って見守っていたのだが、様子がおかしい。暗闇に目が慣れてくると怪異に取り憑かれていることに気づいた。
オレは、アパートに住むためにあらかじめ用意してあった除霊グッツを試してみた。主に塩。塩を蒔いた。
「全く効かね──!」
「ダメですよ! 除霊しなきゃ!」
そこでひとりの女の子が巫女服を着て現れた。
「あれ? 君は?」
「
あっという間に怪異を除霊してしまった。
コレがササさんとの出会いだった。
その時は、ササさんよりも除霊という仕事に興味が移っていた。そういう仕事もあるんだ。部屋代稼ぎにやってみようか? とこうなった訳だ。
そしてオレは除霊師になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます