第7話「結婚しませんか?」

 

 再び、ササがオレの前に現れたのは、その2日後の深夜だった。


 念の為2日間通ったデートの待ち合わせ場所に、ササはまるで幽霊のように立っていた。

 

「ごめんなさい。デート遅れちゃいました」


「どうしてそんな、この世の終わりみたいな顔をするの?」


「ごめんなさい。私、気付かなくって……料理に夢中で……でも料理も出来なくって……私。除霊以外、何も出来ないの……」


「そんなの気にしなくっても良いんですよ?」


 そんな言葉では、今のササを励ます事は出来ないと知った。


「じゃあ、バツを与えるしかないですね?」


「はい、何でも言って下さい」


「ササ。バツとしてオレと結婚して下さい。笹道神社ってあなたの実家ですよね? ふたりでご両親に挨拶しに行きましょう!」


「え、それって?」


「ササの3つの願いを叶えたいんです」


「でも私、デートに遅れましたよ?」

「デートなんてコレからいくらでも出来ます」

「でも私、料理出来ないんですよ?」

「オレが出来ます。美味しい料理いっぱい作りますから!」

「服もこの服しか着られないみたいで……私、絶対変なんです!」

「いやーオレは、巫女服好きだな。一生その服でもOKです」

「でも、でも」

「ダメ出しが終わったら行きますよ?」

「へ。どこへ?」

「笹道神社です。ご両親に挨拶に行きます。はいはい。歩いて歩いて!」

「ええ、でもでも」

「ハイハイ」

「でもでもでも」

「ハイハイハイ」

「でもでもでもでも」

「ハイハイハイハイ」

「私……」

「もう、オレの事キライですか?」

「好きです! もうバカッ!!」

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