KAC20247 色といえば

武藤勇城

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色といえば

私の世界は産まれた時から暗闇に包まれてい

た。先天盲。生来の全盲で、記憶にある色は

何もない。世界は常に漆黒であり、音と味と

匂いと触覚が生態の全て。名前の由音よしね

は父が命名。日本の歌手が大好きだったから

。女優であり、県民のアイドルに恋して、そ

の楽曲を子守唄のように育った。私の最も古

い記憶は七歳か八歳彼女の代表曲で色彩豊富

な音。私の目に代わり薄橙色の夏の陽光等を

教えてくれた。市立の小、中学校に通った。

初恋は全盲理由で愛の終着。漁師の息子で、

優しい彼は舟唄、手を引き駅、雨は傘を差し

水色の曲を奏で亜細亜の世紀最高の慕われる

歌を表現満載暗紀するまで伝授した。情が移

り代る辺になるは必定。金銀に輝くとは、こ

れ。そう思って本気で恋し、暗黒世界は美色

に彩られ、私の名前の通りに音符で満たした

。しかし初恋の思い出は次第に色を失い記憶

だけがよきあすへの糧として残り、色が消え

た世界で一人、寒い闇の底に取り残された。


優しい彼との別れ。引っ越し。親の勧めで県

内唯一の盲学校へ通う。中学までは何とかな

ったけど周囲の負担割合を考えれば仕方ない

。中学の私全てを十として、彼のいない世界

は一か二。彼の隣にいれた場合と全然違う、

色のない世界に戸惑う。無色で無味乾燥。何

もかもを失った。彼のちからきゅう地に陥っ

て再認識する。十のはんで中学で軽減した彼

の負担の割合に、あほな私は色が消えるまで

気付けなかった。ふと思い出し枕を濡らす日

々。転校なんてするんじゃなかったと後悔。

親が病院いこう、など言う怖い。現代医療角

膜移植せ術なら八割から、九割の成功率。数

ヶ月~半年で目も開くからと。無様に泣き叫

ぶ。恐怖から拒絶。実家に戻れば彼にまた会

えるぞと説得され、だったらと決意。使った

瞳もなじみ、とうとう包帯を取る。りょう好

な経過に一安心いろづく世界に驚愕。彼とも

再会するとこう奮し私から告白。「逢いたか

った」世界がこんなにも色鮮やかで美しい!

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