第三話 真犯人急浮上

 捜査会議前日の夜。--

 高﨑は内海をホテル代わりに

自身の自宅に招いた。そこには

自身の婚約者である国枝京香も

いる。彼女は理由も聞かず内海を

受け入れてくれた。

「すいません、京香さんその…」

「謝らないでください、それに

ここは圭太郎さんの家じゃないですか。

一人増えるのも二人増えるのも

一緒ですよ。」

彼女は気丈に高﨑にそう答えた。

 するとそっと内海が近づいてきて

高﨑に言った。

「良い婚約者だな。」「えぇ、どうも。」

 もう既にご飯が出来ていたのか

3人は食事を始めた。内海にとって

誰かとご飯を食べるのはきっと久しぶり

だったのだろう、目に涙があふれそうで

あった。高﨑と京香のふたりはその姿に

微笑みを浮かべていた。--

 笹岡紘一という人間ほど周りから社会のゴミ屑と

揶揄された者を彼の刑務官である相崎誠(あいざきまこと)

は中々知らないと思えた。

 笹岡は暴力団にいた頃から

組の金を不正に横領、複数いる愛人にこれ見よがしにそれを

手渡しその後に他の組員に濡れ衣を着せ、自殺に見せかけ

殺した。遺体はその道のプロが処理し、失踪者として

処理していた。しかし、何者かの力により笹岡は横領と殺人が

露呈され笹岡は組を破門、堅気の人間として逮捕された。

 逮捕後の笹岡は娑婆にいた頃と何ら変わらない行動で

刑務官と受刑者を戸惑わせていた。

10

第三話 完

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コールド・ブラッド~元刑事の殺人者と新人刑事の僕 林崎知久 @commy

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