第40話 分かち合う喜び
『――なるほど、そういうことだったのか。まさか、お月様を良夜に見立てて、元気づけていたなんてね。僕はてっきり、ついに
『なんですって! 今度いったら、ぶっ飛ばすって言ったでしょ!』
この発言に、
『ぶっ飛ばす? そんなこと言ったっけ?』
『はあっ? 何言ってんの! さっき言ったばかりでしょ、もう忘れちゃったの?』
『忘れるも何も。僕が聞いたのは、承知しないっていう言葉だよ? いつ、ぶっ飛ばすなんて言ったの?』
『そっ、そうだったわね、ごめんなさい。――じゃなくて! そんなこと、どっちだっていいのよ。とにかくね、私の悪口をいったら、許さないって言ってんの!』
『はいはい。僕が悪かったです、ごめんなさい』
『だから、返事は1回でいいって言ったでしょ。何度いったら分かるのよ』
いい加減な態度に納得がいかず、
『まあまあ、とりあえずその話は置いといてさ、さっきの続きに戻らない?』
『さっきの続き?』
『そう、良夜の自己紹介。どこまで話したんだっけ?』
『どこまでって……名前を紹介されて、私が余計なことを言ったのよね。たしか……そこまでじゃなかったかしら?』
首を傾げながら聞かれた言葉に耳を傾ける
『そうそう! 名前ね、思い出した。――でね、とりあえず名前は置いといてもらって、とにかく苗字の方がすごいんだよ』
『すごい?』
『うん。多分、今まで誰も聞いたことがない苗字。それはね、卵。すごいでしょ』
『――たっ、たまご? 何よそれ?』
良夜の苗字を聞いた途端に、
『――なっ、夏くん違うよ。卵じゃなくて
『んっ、そうだっけ?』
最初に伝えられた苗字を聞き間違いしていたのか、それとも場の雰囲気を和ませようとでもしたのか。
『そうだよ、最初に説明したじゃん。まあ、確かに呼びにくいとは思うけど……』
『なるほど、苗字は
『む……り?』
『ええ。
『今の言葉は、わざと?』
『そう。私なんてね、苗字が
『ええー、アホって
『なにが作戦よ。そんなのはね、ただの低レベルな言葉遊びなの!』
『ありがとう、夏くん。なんだか気を遣わせたみたいだね』
『んっ、どうした急に?』
『うん。ずっとね、木陰で見てる時から思ってたんだ。この二人なら、僕のことを友達として見てくれるんだろうか。そんな風に悩んでいたんだけど、どうやら必要以上に考え過ぎてたみたい』
『なるほど、気を遣わせたというのは、そういうことか。とにかく気持ちの整理が出来て、悩みが解決したんなら良かったじゃん』
『そうだね。だから、これからは友達としてよろしくね』
『ああ、こちらこそよろしくな』
良夜は
🌸君の事が好きって、言えばよかった……🌸 みゆき @--miyuki--
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