怠惰王のご主人様

　あるところに怠惰を極めた、まったく働かない王様がいた。毎日惰眠をむさぼり、寝ながら食事を食べる彼こそは怠惰王ティルナート。彼には兄弟がおらず、さらには近しい血縁者もいなかった。王族の血は、彼一人で、代わりはいない。
　困り果てた国の重鎮は、悪女と名高い令嬢に国王陛下を何とかしてくれるように依頼をした。
　果たして、魔女と呼ばれるその令嬢は、国王陛下の尻をひっぱたき、国を進ませる――はずが。

「君が俺の妻になってくれてうれしいよ」

　陛下の姦計にはまった魔女は、一手目で躓くことになる。



　これは、怠惰王ティルナートと魔女フローラの、出会いと誓いの物語。