心優しい王女と傷を背負う凄腕剣士が、心を通わせる物語

丁寧で綺麗に描かれている物語です。

魔法が使えるかどうかだけで区別される世界。
私たちが現実に住んでいる社会にも存在する負の部分が、一人の剣士の背中に重くのしかかります。

そんな彼との政略結婚を突然言い渡された王女。
膨大な魔力をもちながらも、ずっと引きこもっていて社会を知らない。
けれどそれがゆえに、目にする物が新鮮で、曇りのない優しい眼で接することができる。
王女の肩書を失くして嫁いだ先の村で、人々の優しさや心の傷に触れて涙し、村人と同じ生活を望みます。

王国や理不尽な世界に強い反感を持ちながら、村を守るためにやむなく結婚に応じた剣士も、そんな彼女にだんだんと心を開いていきます。
一国を滅ぼしかねないほどの力を持つ彼が、何気ない日常や大きな事件を通して、少しずつ変わっていくのは、王女の素朴で他人を思う心がゆえでしょう。

ハイファンタジーでありながら、どこか身近にも感じる温かいストーリー。
じっくりと味わいたくなります。

(上記は第5章途中まで読んだ感想ですが、この先が楽しみです)

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