一粒、三千字の宝石

美しさとは何だろうか。これに答えるだけの知識を俺は持っていないが、この物語はきっと美しい。

何かが欠けてしまった不完全さも、明日には終わってしまうかもしれない儚さも、同時にいつまでも繰り返されるだろう不変性も、そこに感じる恐ろしさも、この異常でひたむきな営みが世界に許されていることの不安でさえ。

全てひっくるめて俺は美しいと思う。


止まらず、他の作品も読んだ。ショートショートという無駄の許されないフォーマットで、物語をコンスタントに作り続ける。どれだけの引き出しがあれば可能なことか。

砂浜で幾つもの宝石を見つけたような心地だった。スコッパー冥利に尽きる。俺はスコップを砂の上に投げ出し、白く淡い三千字の宝石をそっとつまみ上げて、このレビューとする。