最終話 ~まどろみ~

 魂と肉体と精神は調和している。その三つが人を作っている。

 体の中心で、空と大地からもたらされる呼吸の調律を取り、僕の指先が誰かの三つに触れる時、僕の霊性は目を覚ます。


 霊性は指先に触れたその身体に語りかける。


『私があなたのくさびを取り除き、あなたの体液と生命が正常に動き始めた事をあなたが実感したならば、その次はどうか、あなたの心と魂がその身に宿っている有りように、安らぎと喜びを覚えますように。


 その安らぎと喜びは、あなたの全身を満たすとめどない潮流、よどみない鼓動、そして豊かな笑い声に変わる。それらは全て、私にとっての福音なのです』


 幸福であれ。安らかであれ。


 その祈りが福音となって僕と誰かを満たせたならば、きっと僕はこれからも、世界の呼吸と己の魂に刻まれた定めに従い続ける。そして、この生で最後の呼吸を終えたとしても、次の世でまた同じように、福音を追い求めるに違いない。


 いつか遠い未来の先に、この魂が還る場所を永遠に失ったとしても。

 きっと僕は、人を癒す叡智を求めるに違いない。



                                ~完~






本作の施術については、オステオパシーの概念に気功の要素をほんの少し融合させたものを使わせていただきました。本作を作成するにあたり、施術についての哲学、理論、アプローチとイマジネーションを与えて下さった、オステオパシーの創始者、故アンドリュー・テイラー・スティル医師に心から感謝いたします。

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セラピストたちの村 みかみ @mikamisan

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