第11話 お年玉

ネズミ「やぁ、ウサギくん」


ウサギ「やぁ、ネズミくん」


ネズミ「ところで、太郎たろうくんからお年玉としだまもらったかい?」


ウサギ「もらったよ!」


ネズミ「なにもらったんだい?」


ウサギ「いつもとちがった美味おいしいっぱを『お年玉としだまだよ!』ってって沢山たくさんってきてくれたんだ」


ネズミ「太郎たろうくんは本当ほんとうにいいだね」


ウサギ「本当ほんとうにそうなんだよ。だから太郎たろうくんはお年玉としだま一杯いっぱいもらったんだとおもうよ」


ネズミ「やっぱりいいだとお年玉としだまおおいんだね。

 だけど、どんなにいいでもお年玉としだまもらえないだっているんじゃないかな」


ウサギ「そうだね。ぼくかたくなかった。反省はんせいするよ」


ネズミ「おや! 今日きょうはやけに素直すなおだ。いつもなら理屈りくつをこねるのに」


ウサギ「・・・・・(それはネズミくんだろ!)」


ネズミ「ん? なにったかい?」


ウサギ「なにってないよ」


ネズミ「そう!? 

 それにしても太郎たろうくんはお年玉としだまなにうのかな?」


ウサギ「いまはやりのゲームをいたいってってたよ」


ネズミ「ゲームか~! ゲームってたかいんだろうね」


ウサギ「ほかのお友達ともだちはリモコンのくるまうってってた」


ネズミ「貯金ちょきんするってはいないのかな~」


ウサギ「いたよ。将来しょうらいのために貯金ちょきんするって」


ネズミ「それはすごいね。もうそんなことかんがえているんだ」


ウサギ「あたまがるよね」


ネズミ「貯金ちょきんができるって尊敬そんけいする。おれなんかそのぐららしだから」


ウサギ「ネズミくんに貯金ちょきんなんて似合にあわないよね」


ネズミ「似合にあうとか似合にあわないとか、これってそういう問題もんだいなんかい」


ウサギ「また問題発言もんだいはつげんしちゃったかな」


ネズミ「おれはおかねには興味きょうみがないの!!」


ウサギ「かじれるもののほうがいいってことだよね!」


ネズミ「ぶつよ!」


ウサギ「ごめん!ごめん!」


ネズミ「ホントにもう、最近さいきん随分ずいぶん物言ものいいをするようになった」


ウサギ「機嫌きげんなおして!」


ネズミ「おれこころがでかいから、そんなことどうでもいい」


ウサギ「さすが!ネズミくんは人格者じんかくしゃだ!」


ネズミ「今度こんどはおだてかい」


ウサギ「ところで今日きょうはそんなはなしをしにたの?」


ネズミ「いや、ちがう。ウサギくんがへん物言ものいいをするからどんどんへんはなしになっちゃう」


ウサギ「かえ言葉ことばがないよ」


ネズミ「いや、本当ほんとうはね、心配事しんぱいごとがあったんだよ」


ウサギ「どんな心配事しんぱいごと?」


ネズミ「このまえはたけえている大根だいこんをかじろうとしたときなんだけど」


ウサギ「そのときなにかがあったんだ」


ネズミ「あったんだよ。一寸ちょっとおおきな一寸ちょっとちいさなに『お年玉としだませ!』ってってるのがこえたんだ」


ウサギ「それって、お・ど・し!?」


ネズミ「多分たぶんね。恐喝きょうかつってうんだって。ちいさいふるえてた」


ウサギ「はたけなかじゃ、そうそうたすけをもとめられるひともいないし、こわいね」


ネズミ「ちいさいが『ありません』ってったんだ」


ウサギ「それでどうなったの?」


ネズミ「そしたらおおきいほういが『さっき友達ともだちぼくはこれだけもらったって自慢じまんしてたじゃないか!』ってって・・」


ウサギ「そしてまたおどしたんだね」


ネズミ「そうなんだよ。てて可哀かわいそうだった」


ウサギ「大変たいへんなもの、ちゃったね」


ネズミ「たすけてあげられなかった」


ウサギ「むずかしいよね」


ネズミ「こんなときたすけられる方法ほうほうなにかんがえておいたほうがいいかなっておもったんだよ」


ウサギ「ネズミくん!!! すごい!!!」


ネズミ「??? 

 そうだ!!! 

 おれがその姿すがたせれば『キャー!ネズミ!』ってことになって、大騒おおさわぎになって、落着らくちゃくするかもれないな」


ウサギ「なんてすばらしいかんがえなんだ! 

 もしかしたらネズミくんがつかまっちゃうかもれないのに・・・

 ネズミくんのこと、尊敬そんけいするよ」


ネズミ「おれはそんなつかまるようなドジはまないから大丈夫だいじょうぶさ」


ウサギ「自信過剰じしんかじょう危険きけんだよ」


ネズミ「かってるよ!

 それにしてもおれのこと、見直みなおしたかい。おりなかのウサギくんにはこんなこと、絶対ぜったいできないよね!

 機嫌きげんがよくなったところでそろそろかえるとするか」


ウサギ「なんだか堂々どうどうかえってった。

 ぼくもネズミくんにけないように、おりなかたって太郎たろうくんのためになにができるかをかんがえておかなくちゃ。

 それにしてもお年玉としだまをいくらもらったなんて自慢じまんしたりしないほうがいいってことだよね。いいひとばっかりじゃないから。

    クワバラ!クワバラ!」

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