（ヒマつぶし）ウサギとネズミの会話

第2話 聞きかじりのフェイク

ネズミ「やあ、ウサギくん」

ウサギ「やあ、ネズミくん。

この前は猫（ねこ）に喰（く）われなくてよかったね」

ネズミ「何言（なにい）ってんだい。俺（おれ）が喰われるわけないだろ。

俺にしたら猫を撒（ま）くなんて世話（せわ）ないことさ」

ウサギ「そうなんだね。心配（しんぱい）して損（そん）した。

ところで今日は何（なん）の話をしに来たんだい？」

ネズミ「今日の話は君にとって、最（もっと）も重要（じゅうよう）な話だ」

ウサギ「また重要な話かい。何（なん）か嫌（いや）だなぁ」

ネズミ「聞（きき）きたくないなら帰（かえ）るよ」

ウサギ「分（わ）かったよ。聞くよ。

では、その重要な話って何ですか？」

ネズミ「最初（さいしょ）っから素直（すなお）にそう言えばいいんだよ」

ウサギ「・・・・」

ネズミ「気候変動（きこうへんどう）って知ってるかい？」

ウサギ「なんだか難（むずか）しそうな話だね。

言葉（ことば）では聞（き）いたことがあるよ。子供たちが僕（ぼく）の世話（せわ）をしながら時々話（ときどきはなし）をしてたからね。

でも意味（いみ）がよく分からないんだ。一体（いったい）それは何者（なにもの）なんだい？」

ネズミ「お天気（てんき）の話さ」

ウサギ「何でお天気（てんき）が僕にとって重要（じゅうよう）なんだい？」

ネズミ「まぁ、聞けよ。

テレビで言ってたらしいんだけど、夏（なつ）と冬（ふゆ）がひっくり返（かえ）るかも知（し）れないって話なんだ」

ウサギ「何だ、それ！

それは一大事（いちだいじ）だ。」

ネズミ「そうだろ。

君には夏の毛（け）と冬の毛があるんだろ。

夏と冬がひっくり返ったら夏は暑（あつ）くて仕方（しかた）ないし、冬は寒（さむ）くてどうしようもないってことになる」

ウサギ「どうしよう。そうなったら僕は生きていられないよ」

ネズミ「だからこの話は君にとってものすごく重要な話なんだと言ったんだ」

ウサギ「そうだね。ありがとう。

でもどうしたらこのことに対応（たいおう）できるんだろうね」

ネズミ「そんなの簡単（かんたん）だよ。聞きたいかい？」

ウサギ「じらさないで早（はや）く教（おし）えてくれよ」

ネズミ「仕方ないなぁ。

よく聞けよ。

君が夏になったら冬の毛に、冬になったら夏の毛にすれば、それで全（すべ）てが丸（まる）く治（おさ）まる」

ウサギ「な～るほど。やっぱりネズミくんは頭（あたま）がいいね」

ネズミ「当然（とうぜん）のことさ」

ウサギ「でも、結局夏（けっきょくなつ）が冬（ふゆ）になったら、その時僕（ときぼく）は冬の毛にすればいいだけのことでしょ。

それって、今と何にも変（かわ）わってないような気（き）もするんだけど・・」

ネズミ「全然違（ぜんぜんちが）うだろ。

それはウサギくんの気のせいだ。

夏が冬になるんだよ」

ウサギ「そうなのかな～」

ネズミ「あまり深（ふか）く考（かんが）えると頭（あたま）が痛（いた）くなるよ。

じゃあ俺は帰る」

ウサギ「ネズミくんのことを信（しん）じないわけじゃないけど、テレビが本当にそんなこと言ったのかなぁ。

怪（あや）しいよな」