右にさよなら、左にまたね

　どうしてこうなった。
　まばらな拍手と多方向からの恨めしげな視線を全身に感じながら僕は困惑した。けれどその事実は黒板にしっかりと書いてある。

　広報委員会　間渕京介・白水結葉。

「よろしくね、間渕くん」
　にこりと人懐こい笑みがこちらに向く。拍手が減って、恨みが増した。
　彼女はこのクラスのヒロインだ。
　その華やかな雰囲気と整った容姿で入学初日から話題だった。生まれた星以外の共通点が見つからない高嶺の花。
　そんな彼女と同じ委員会に入った。
　おそらくこの教室の男子全員が狙っていたであろう椅子に僕が座っている。
　いや、座ってきたのは彼女のほうだ。
「ところでさ」
　命からがら男子たちの鋭い視線に耐え抜いた放課後。
　白水は輝度の高い笑みを引っ提げて僕の元にやってきた。
「広報委員会…続きを読む