タイトルに騙された...が、良い意味で!
「病室」「いじめ」というワードから想像したのはきっと重たい展開だろうなぁ...謝罪して、許して、少しずつ関係を修復していく、そんな物語を予想していました
でも、読み始めて数分で気づきました...これ、全然違う!?
主人公には「計画」があったらしく、その言葉だけでぐっと引き込まれました
一体何が起こるんだろう?そして明かされていく真相が、想像の斜め上すぎて、思わず笑顔になってしまった。こういう「やられた!」っていう感覚、久しぶりだなぁ...
そして、キャラクターの「動き」が見える文章にも驚きました!
この作品の魅力は、登場人物たちが本当に生きてる感じがするんです。
ヒロインの白石はとにかく感情表現が豊かで、恥ずかしがったり、慌てたり、嬉しそうにしたりとか
その一つ一つが文章から1つの映像として浮かび上がってくるんですよ
「湯気が出そうなくらい赤く」とか「茹ダコのように」とか、そういう比喩が絶妙で、読んでるだけで彼女の表情が目に浮かぶんです笑
主人公の颯太も魅力的で、基本的には冷静なんだけど、時々ぽろっと漏れる本音がかわいい!!この「言葉にしない優しさ」みたいなのが読んでてじんわり温かくなります...
そして、会話の「空気感」が心地いい!!
会話のテンポがすごくいいです、するする読めちゃう!
慌てた早口やわざとらしいため息、不意打ちのような一言
リズムに緩急があって、飽きない!!
会話文と地の文のバランスも絶妙で説明臭くならないのに状況はちゃんと伝わる!!!!
こういう「自然な会話」って、書くの難しいと思うんですけど、この作者はそれをさらっとやってのけちゃう!読んでて非常に気持ちいい文章でした
更にさらに「距離感」の描き方が上手い!!
二人の関係性が変化していく過程が、すごく丁寧に描かれています
最初は遠慮がちだったヒロインが、少しずつ主人公に近づいていくその距離の縮まり方が、物理的にも心理的にも本当に自然で優しいです!読んでて「ああ、こういう関係っていいな」って心から思いました...!
本当に「生きている作品」って感じましたね...
特に私が印象的に思っているのが些細な約束のシーンです
子供っぽいかもしれないけど、二人にとっては真剣で大切なもの
こういう「小さいけど大事なもの」を丁寧に扱う姿勢が、この作品の温かさにつながってるんじゃないかなって思いました
そして大切なのが「甘さ」と「切なさ」のバランスです!!
この作品、甘いシーンがたくさんあるんです。ラブコメでは良くありますよね?
でも、ただ甘いだけじゃないのがこの作品の魅力
ヒロインの不安や主人公の優しさの裏にある思いやりなど、そういう感情の機微が甘さに深みを与えてると思います
だから読後感がすごくいい!!!!「ああ、いいもの読んだな」って素直に思えたのは何時ぶりだろう...?
病室という閉じた空間で育まれる二人だけの特別な時間は甘くて切なくて愛おしかったです
そして文章の「巧さ」に驚きました...
表現の引き出しがとにかく豊富!
キャラクターの感情を伝える比喩、場面の空気感を作る描写、テンポの良い会話、どれも高水準で「この人、文章上手いな」って何度何度も思いました
でも技巧に走りすぎてないのがいい!!あくまで自然で読みやすく、この「上手いけど嫌味がない」っていうバランス感覚が並大抵の人じゃ出来ない本当にすごいことだと思いました
これは才能と言わずしてなんと言ったらいいのか分かりません
現代社会でストレスを抱えてる人、癒されたい人、温かい気持ちになりたい人、色々な人におすすめできる素晴らしい作品です!