配信者はエイリアン。火星をテラフォーミングして人気者に。
ウツロ
第1話 指令
『指令』
D77地区担当のオクト・キュノッポ。
貴殿にミッションを与える。
地球と呼ばれる惑星と取引して、十億クレジット売り上げよ。
手段は問わない。
達成するまで帰還は認めない。
以上。
銀河トレーダー協会 太陽系支部長より。
「クソが!」
今朝届いた指令書を見て、俺は声を張り上げた。
十億クレジットだと?
こんな辺境でどうやったらそんなに稼げるんだよ!!
こいつはアレだな。
イヤガラセかリストラだ。
達成できないと分かってて、無理難題を押しつけてやがるんだ。
冗談じゃない。
船に積まれた商品を全部売りさばいたって、せいぜい一万クレジットだ。
おまけに地球なんて辺境じゃあ基準通貨のクレジットすら使ってない。
十億なんてどうやって売り上げるんだ!
クソ―。
酔った勢いで支部長の悪口を言ったのがマズかったか。
誰かがチクりやがったな。
ライバルを蹴落として
そうはさせるか!
俺は銀河一の商人になってやるんだ。
こんなところで、つまずいてられっか。
こうなったら、なんとしてでも売り上げを達成してやる。
それには、ただ商品を売るだけじゃだめだ。
商品を利用して稼いでいかなきゃならない。
なんかないか……。
「オイオイオイ!」
地球について調べてみて分かった。
この惑星、一年後に隕石が衝突するじゃねえか。
こいつらの科学レベルじゃ防げない。滅亡すんぞコイツら。
じゃあ、俺は一年で十億クレジット稼がなきゃなんねえのか?
不可能だろ。そんなもん。
いや、待て。諦めたらそれで終わりだ。
もっと考えろ。
指令書には手段を問わないと書かれていた。
じゃあ、売買だけで稼がなくてもいいってことだよな。
それに辺境のヤツラには他に知的生命体がいるってバレちゃいけないって決まりがある。
それもムシしていいんじゃないか?
どうせコイツら一年後には死んじまうんだしな。
だったら、やりようはあるか。
俺の利点を最大限利用して……。
――――――
「オイ! 地球人ども、良く聞け。俺はオクト・キュノッポ。エイリアンだ。
これから火星をテラフォーミングするから、その様子を動画で配信してやる。
なんでテラフォーミングするかって?
地球に隕石が衝突するからだよ。おまえらみんなオダブツだ。
だから心優しい俺が、火星を住めるような星にしてやろうって言ってんだ。
隕石が衝突するのは一年後だ。間に合うかどうかはしらねえ。
だが、投げ銭してくれたやつ。金額の一番高かったやつから順番に移住させてやる。
投げ銭するなら、早ければ早いほど得だぞ。
もらった金額×残り日数で計算してやるから。いま一万よこせば×365で365万てことだ。
分かったか?
分からない? バカは勝手に死んどけ。
はい、スタート!」
とまあこんな感じで動画を配信した。
地球で一番ユーザーの多い動画配信サービスだ。
辺境らしいダッセぇサービスだが、稼げるらしい。
閲覧数、そして、投げ銭ってやつでまずは儲けてやる。
なにせ命がかかっているからな。
金なんざいくらでも払うってもんだ。
その金をどうクレジットに変換するかが問題だが、それはまあ、なんとかなる。
換金サービスがあるからな。たくさん吸い上げれば十億クレジットぐらい達成できるだろう。
それにだ。
火星に移住したやつらをコキつかってやればいいんだ。
移住したところで、俺なしじゃやっていけない。
他の惑星と取引させて、その売り上げを俺が吸い取る。
そうすりゃ、十億どころじゃない金が稼げる。
ふははははは。
やっぱ、俺って天才だな!!
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