第8話 宇宙旅行は突然に

 あれから数日がたった。

 火星のテラフォーミングは順調だ。


 大気はだいぶ安定し、大きな水たまりもいくつかできた。

 その周辺にたくさんコケも生えてきた。

 そろそろ微生物をまいていこう。いろんなものを分解して土壌を豊かにしてくれる。


「ミサイル発射!」


 ミサイルのケツを蹴り飛ばすと、バヒューンと宇宙船から飛び出していった。

 それから空中でパアアンと破裂。中の微生物はちりぢりになって大地に降り注いだ。


「よし、これでオーケー」


 あとは勝手に働いてくれるはずだ。



 ――それからさらに数日。


 草花の種子をまく。

 コケと微生物がいい感じに仕事をしてくれてるっぽいので、ぼちぼち虫さんを入れたい。

 だが、酸素も足りないし、虫のエサとなる蜜もない。

 だから、酸素をたくさんだす草や、蜜をだす花を育てていく。


「発射!」


 ポチッとスイッチを押すと、ひまわり型の散布機が飛んでいった。

 名付けてひまわり君二号。花びらのようなプロペラで飛び、真ん中にギッシリ配置されたカプセルを投下していく。

 カプセルにはこれまたギッシリ草花のタネが入っており、地面に着弾後、弾けて周囲にまかれる。


 お~し、成功。

 だいぶ進んできたな。

 地球にはない植物ばかりだけど、まあいいだろう。

 ちんたら生長を待ってたら間に合わないからな!

 ある程度環境がととのったら、順次入れ替えてもいいけど。


 ……いや、そこまでしなくていいか。

 死ななきゃオッケイってことで!


 チャリン!

 お! 投げ銭がきた。

 5000円!!


 最近、金額があがってきた。

 チャンネル登録者数も激増である。

 いい流れだな~。このまま十億クレジットまでいってくれればいいが。

 いまのペースだと全然ムリだけどな。けど直前になったら加速度的にふえることは分かっている。


 あ、そうだ。

 実際に誰か連れてきてもいいな。

 宇宙から火星のテラフォーミングを見てもらう。

 そうすれば疑う余地などなくなるハズだ。


「あ~、おまえら。俺からひとつプレゼントをやる。火星のテラフォーミング鑑賞券だ。十名限定、投げ銭の多かった順番に間近で見せてやる」


 カメラに向かって宣言した。

 ライブなので視聴者の反応がすぐ見れて楽しい。


”え? 宇宙行けんの?”

”UFO? UFOに乗れるの?”

”SUGEEEEE~”


 など、書き込みがワンサカきてる。

 よしよし、いい感じだぞ。


「ちなみに当選のお知らせは対面で返させてもらう。いきなり迎えに行くから、準備しとけよ。じゃあな!」

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