第2話 配信

※(注)筆者に動画配信の知識はありません。オリジナル仕様の動画配信サービスです。



 さっそく、コメントがきた。

 俺のチャンネルに訪れたやつの書き込みだな。

 なになに。


”なに言ってんだコイツ。イカレてんのか?”


 ファック!

 この下等生物が俺にむかって!!


 許さねえ。ぜってー許さねえ。

 返信してやる。


”ほんとうの話だ。死にたくなかったら投げ銭しろ”


 そう打ち込んでやった。

 書き込みがまたきた。


”コジキおつ”


 てめええええええ!!


 フザけやがって。

 宇宙人のテクノロジーをナメんなよ。

 どこのどいつだ。ハッキングして突きとめてやる。


 わずかコンマ数秒。宇宙船のコンピューターは書き込んだ者の住所名前を割り出した。

 それをコメントで入力してやる。


”東京都港区○○にお住いの藤原ゆうた君。部屋散らかってんな~。ちゃんと掃除しろよ。コタツの上にあるペットボトル6本も捨てろよ”


 サービスで部屋の様子まで書き込んでやった。

 その後、ゆうた君からの書き込みはなかった。大慌てだったに違いない。

 ここから見える映像には、しばらく固まったあと、必死でカメラを探すゆうた君の姿があった。

 ざま~みろ。

 宇宙人にケンカを売るからこうなるのだ。


 まあ、こんなアホ相手にしてられない。

 もっと動画の人気を高めないとな。

 え~っと、チャンネル登録者の数が多ければいいんだっけ?

 いま何人だ?


 見れば数字は1だった。

 ……1?

 ひとりだけ?

 そんなバカな。

 などと思っていると、その1が0に。


 クッソーーーー!!!

 どうなってんだよ!

 この動画サービス稼げるんじゃなかったのかよ!!


 ――いやまあ、まて。おちつけ。まだあせる時間じゃない。

 実際にテラフォーミングしてからが本番だ。やっている様子を見せれば本物だと分かるハズ。

 そうすればみんな登録するさ。


 ――そして翌日。


 いよいよ火星をテラフォーミングするか。まずはどこから手をつけよう。

 大気からか?


 おっと、そうだ。その前に配信しないと。

 ライブにすっか。ふつうの動画だと編集と思われるからな。


 動画配信サービスに接続する。

 しかし、出てくるのは『アカウントがありません』のメッセイジ。


 あれ? なんだ?

 アカウントがないってどういうことだ?

『!』マークが表示されていたので、そこを押した。


『不適切な発言が含まれていたため、アカウントをはく奪いたしました。』


 ファ~ッッック!!!!

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